大和ごころ
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第1章⑮<R15> [「うたかたごころ」第1章]

「うたかたごころ」を初めてお読みになる方は、必ず(はじめに)をお読み下さい。

<第1章⑮の登場人物>
 吉川愛子(よしかわ あいこ)♀…16歳。主人公。
                     かつては吉川(きっかわ)の姫だった
 前田慶次♂…17歳。愛子の幼馴染。愛子と交際中。
         ※髪型は後ろでひとつに縛ってはいるが、肩にかかる程度の長さ
  
 毛利元就♂…20歳。5年前に元服した、松寿丸(しょうじゅまる)
 うた♀…かつての愛子の乳母。
      安芸吉川の姫・吉川舞子(きっかわ まいこ)付きの老女


※このページは成人向け表現が含まれます。15歳未満の方は閲覧を禁止させて頂いておりますので、ご注意下さい。


「いや……」
 愛子の小さな悲鳴を無視して、慶次はその口付けを胸元から谷間へと、さらに下降させた。逆に愛子の背を駆け上がってきた手は、すぐにブラジャーのホックを探り当て、節くれだった指からは想像もつかないほど、器用に外してしまった。そしてその手は、肌を伝って体の前へ前へと滑り、まるで頬に手を添えるように、愛子の膨らみに触れ、慶次はさらに呼吸を荒げて、服越しのその膨らみに強く口付けた。
 太ももには慶次のジーンズがあたり、そこから彼の男性部分が興奮しているが分かる。
 男の情欲を初めて見せた幼馴染が、激しく自分を欲している。
 このことが、自分は女なのだという当たり前のことを、愛子に強く意識させた。
 ── 私は……。
 男性と恋をする、そのことをまるで分かっていなかった。素敵な男性と恋に落ちて、その人のお嫁さんになって、子供ができて、幸せな家庭を手に入れて……。
 ── 私は、ばかだ……。
 何て幼く、何て夢見がちだったんだろう。
 男性と交際すれば、いつかこういう展開になることは分かっていたはずだ。自分だって、その覚悟がなかったわけじゃない。松寿丸に代わって自分が守ると言ってくれた慶次は、天涯孤独の自分に生きる場所を与えてくれ、それが何より嬉しかったし、頼もしかった。
 それに、いとおしそうに自分を見つめてくれることには、純粋にときめきも感じた。
 けれど、
「愛子……」
 いつもと違う呼び方で名を呼ばれて、愛子はビクリと体を震わせた。気がつけば、自分の胸に顔を埋めていた慶次は、再び愛子の首筋まで上がってきて、耳を噛んでいる。
 ── 愛子……。
「── 寿……兄…さま…」
 僅かに空いた唇から漏れ出た、愛子の微かな呟きに、今度は慶次が動きを止めた。

 月光に佇む、文机の一輪挿し。そこに活けてあった野草が、悲しげに月を見ているように見え、私室に戻った毛利元就は、思わずそれをこちら側に向かせた。しかし、水が足りないのか、それとも夜だからか、何故か花は元就のほうを見上げず、若干頭を垂れている。
「何故そのように振る舞う。悲しいのか」
 己があの女を抱くことになったことが、この花を傷つけたのか。
「我は……、あの女とは契ってはおらぬぞ」
 それとも、己があの女と上手くいかなかったことを悲しんでいるのか。
「言葉で言わねば分からぬぞ」
 己は心を捨てたのだから。
 そう独りごちて、元就は野草の機嫌をとっている己に苦笑した。
 あの女を無理に抱こうとして、遂に自分は気が違ってしまったらしい。まさかとは思ったが、己は年頃であるにも関わらず、裸の新妻が生理的に受け付けないとは。普通の男なら、例え望まない女でも、抱けるのであれば抱いてしまいたいと思うもの。元就とて、健全な若者である以上、それなりに欲求はあるし、想い人を脳裏に呼び起こして自慰もする。
 ── 自慰……か……。
 己の役に立たない男の部分を奮い立たせるには、あの時はそれしかなかった。
 これは愛子だ。
 目を閉じて、そう自分に暗示をかけ、己の性器に己で刺激を与える。そして、吐き出せるようになったら、あの女の体にねじ込めばいいと。それなのに。
 ── 心をよこせとは。
 嫌な女だった。自分に絶対の自信を持っていて、それでいて、自分は恨まれるようなことは何ひとつないと言う。愛姫の運命をあれだけ狂わせ、よくそんなことが言えたものよと、元就は反吐が出そうになった。己は実の両親のもと、何の苦労も知らぬまま育ち、愛されて当然とでもいうような顔をしていた。そしていやらしく体をくねらせて、男の好意を惹き付けようとしては、それを弄んで楽しむかのような目。行為を始める時、後ろを向かせたのは、あの顔を見たくなかったからだ。勿論、反応を示さない己のものを、あの女の目に触れさせない為でもあったのだが。
 しかし、舞姫は自分の命に背いて体勢を変え、ふしだらにも元就の男性部分を自ら口に含もうとし、裸の胸を己の足に押し付けてきた。挙句に元就の心が欲しいと強請った。
 ── 強欲な女よ。
 ありとあらゆる物を愛姫から奪っておきながら、このうえ尚も欲を出すのか。
「我の心だと? ……手に入れたくば入れてみよ」
 ── あれは愛子の墓に捨てたのだ。それ拾うことが叶うは愛子だけよ。
 あの女には触れさせぬ。元就は改めてそう誓い、野草に口付けてその香りを嗅いだ。そして、部屋に差し込む月光の中、文机にうつ伏せになって瞼を閉じ、下半身の衣に手を入れた元就は、花の香りで興奮しだした己を慰め始めた。
「……愛子……」

「……愛ちゃん?」
 愛子の小さな呟きが耳に入ったと同時に、慶次は自分の頬に冷たい物が触れたので、手を止めてゆっくりと顔を持ち上げた。愛子の顔を覗き込むと、目尻から涙を一筋流し、瞬きすらも忘れたように、ぼうっと天井を見つめている。
「愛ちゃん……」
 上から見つめる慶次と目が合っているのに、愛子は慶次を見ていなかった。
 ── 松寿丸かよ……。
 愛子を脱がせようとした時、愛子の着ているプルオーバーポケットに、感触があった。あれはおそらく、松寿丸から貰った押し花をパウチした栞だろう。
 愛子だって、慶次に恋をしてくれている。それは慶次にもちゃんと分かった。
 好きだと囁けば顔を赤くして照れる。肩を抱けば、はにかみながらも体重を預けてくる。
 愛子は他人に嘘をつかないし、自分を偽ったりもしない。
 けれど、手を繋いでも、キスをしても、体に触れても、慶次を彼氏として見つめてくれる愛子は、いつも松寿丸に守られているようにも見えた。そして彼女自身も、おそらく無意識ではあるのだろうが、かつて松寿丸に愛されていたという思い出を、心地よさそうに纏っているように見えた。
 別に奪いたかったわけじゃない。壊したかったわけでも、泣かせたかったわけでもない。
「ごめんね……。やめよう。俺……本当にごめんね」
 慶次は愛子の上から体を起こして、彼女の肌に触れていた手を服から抜き、肩を抱いてそっと起こしてやった。慶次の行動に、愛子は少しだけ驚いたように瞬きをしたが、自分の涙に気づいて慌てて拭いながら、ごめんなさい、と小さく呟いて起き上がった。
「謝るのは俺のほうだから。だから……謝らないで」
「でも……」
「っていうかさ、俺、非常識だよね! こんな時間に部屋に押し入って! 帰るね!」
 愛子の言葉を遮って早口にそう捲くし立てると、慶次は笑顔を見せつつも、逃げるように慌てて部屋を出て行った。ひとり残った愛子は、布団に顔を埋めて泣くしかなかった。

 夜明け。自分の羽織をかけた状態で、掛け布の上に寝てしまった元就は、薄く開いていた窓から、ひんやりと流れてくる春の風に身を震わせ、その寒さで目を覚ました。日課の早朝念仏にはまだ早かったが、自ら小さな明かりをひとつつけ、着替えを始める。そして脇差を帯刀し一旦部屋を出ると、顔を洗う為、元就は水場へと向かった。

 水場から戻ってきた元就は、薄暗がりの中、自室の前に佇む人影が目に入り、脇差に手をかけて目を凝らした。女だ。
「誰(たれ)ぞ」
 声をかけると、その人物は暗闇で元就がよく見えていないらしく、一瞬こちらを伺うように首を傾げる。しかし、それが元就だと認識した瞬間、女は跪(ひざまず)くこともせず、意外にも親しげに声をかけてきた。
「お久しゅうございます。松寿丸様」
 松寿丸、と幼名で呼んだ彼女の声に、元就は聞き覚えがあった。
「……うた……」
 彼女の名を口にした瞬間、自分でも驚くほどの柔らかい声音が出た。

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※↑で文字化けする方(携帯からお読みになる方など)は、カテゴリーから<「うたかたごころ」第1章>→「第1章⑯」へお進み下さい。


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