大和ごころ
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第5章-幸村編-⑯<R18> [「うたかたごころ」第5章-幸村編-]

「うたかたごころ」を初めてお読みになる方は、必ず(はじめに)をお読み下さい。

<第5章-幸村編-⑯の登場人物>
 吉川愛子(よしかわ あいこ)♀…25歳。主人公。Japan Air の客室乗務員。
                     かつては安芸吉川(きっかわ)の姫。
                    幼少の頃に毛利元就の友だった
 真田幸村♂…23歳。戦国一の兵(つわもの)と称された武将。
 (真田源次郎)現代では、島津の店で雑用をして働いている。
 伊達政宗♂…25歳。島津の店では主に厨房を手伝っている。
          眼帯はドラッグストアで買った物に替えている
 前田慶次♂…26歳。愛子の幼馴染。愛子と交際していたが破局。
         フリーター。今は島津の喫茶店で働いている
         ※髪型は後ろでひとつに縛っているが、肩にかかる程度の長さ
 猿飛佐助♂…29歳。真田幸村に仕える上忍。
 (長野佐助) 島津の店で厨房を手伝いながら、ホールもこなす 


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「確かに愛ちゃん、最初は……あんたに惚れてた」
 政宗は、慶次の言葉に苛立った。そんなこと、わざわざ言わなくなって当の佐助は分かっている。愛子が惚れていたどころではない。政宗が出会った時点では、佐助のほうにも明らかに好意があった。その証拠に、初めて愛子と会ったあの駿府の夜、土地勘のない森での合戦の中、貴重な手勢の数も減らしながら、佐助は決死の覚悟で愛子を守っていた。
 忍というものは武士とは違い、護衛中でも己の身が危うくなれば、任務を放棄して自衛に徹する。そもそも護衛という仕事自体、上忍であればあるほど、引き受けることが稀だ。
 だが、忍合戦に合流した政宗が見たのは、己の命を盾に愛子を守る佐助の姿だった。
 しかも、愛子が毒針を喰らったとき、佐助は目の前の敵を放り出して愛子の解毒を始めた。信玄の大事すら取り乱さない、あの佐助が。血迷ったのか、と政宗は己の目を疑った。
 任務でも義務でもなく、己が守りたくて守っている。恐らくは味方の破透も知らぬ姿だ。
「……でも、今は愛ちゃん、真田さんと一緒にいることを望んでる」
 慶次の言いたいことがようやく掴めた。愛子がいつの時点で、何をきっかけに幸村を好いたのかは誰も知らない。政宗も、慶次も、恐らく愛子自身も。そしてそれは佐助も、だ。
「それが、俺様の思い上がりと何の関係がある」
「佐助さん、あんた……愛ちゃん達が結ばれたの、自分が仕組んだからだと思ってるだろ。自分が伊達さんを巻き込んで、愛ちゃんをその気にさせて、そう仕向けた……ってさ」
 俺もかよ。政宗はそう胸中で反論しつつ、これまで度々佐助に踊らされた己を自嘲した。
 昔からそうだ。この男の意のままになどなるか。そう反発し、この男の考えそうなことを巡らして、必死にその裏をかいてきた。だが腹立たしいことに、そうやって先回りしてみせても、それすら佐助の想定内なのだ。まるで、何処ぞの觔斗雲(きんとうん)の猿だ。
 実際竜は、猿の手の中を飛んでいた。政宗とて今の慶次のように、何度この男に怒りと悔しさを覚えたか。だが猿の手の中は広すぎて、その内、飛ぶことにも疲れていった。
「でもさ、愛ちゃんの心が動いたのは、真田さん自身の行動に惹かれたからだ。あんたが何を働こうと、誰を巻き込もうと、最後に愛ちゃんが選ぶのは真田さんだったと思う」
 勇気を振り絞って佐助に立ち向かう慶次が、政宗はかつての己の姿に重なって見えた。
「風来坊の旦那。何か勘違いしてるみたいだけど、俺様は自分が大将と愛子を動かしたなんて思っちゃいないぜ。ただ俺様は自分の読みを外さない。だから万事が想定内なのさ」
「勘違いしてるのは手前ぇだ、猿飛」
 佐助が慶次を嘲笑うのが我慢ならず、政宗は助太刀に出た。本当は最後まで、慶次の話を黙って聞くつもりだったが、もういいだろう。それに積年、奥州筆頭であるこの己に、佐助は言いたい放題言ってくれた。たまには、耳の痛いことのひとつも言ってやりたい。
「前田が言ってるのは逆だ、猿飛。手前ぇが意図して‘何かをした’話じゃねぇ。‘何もしなかった’ことについてだ。つまり『身を引いてやった』と思い上がってるって話だ」
 自分の思い通りに事が運んでいるとき、敢えて姿をくらますのは佐助の常套手段だ。
「アンタは、愛子が手前ぇに惹かれてたことに気付いてたし、アンタも愛子に惹かれてた。だが最初にそれに気付いたのは、当事者のアンタらじゃない。俺の予想では、真田だろ」
 そこで佐助が一瞬、瞳の奥を動かしたのを、政宗は見逃さなかった。つまり、図星だ。
「元々真田は、アンタを頼りにしてる反面、劣等感も抱いてた。だからアンタは、愛子に手を出さなかったんだろ。実際、お前が手を出してたら、真田は愛子を諦めちまってた」
 若い侍女すら雇うのを躊躇う、初心な幸村のこと。己の心に気付いたところで、自ら愛子に手を出すなどまずあり得ない。ましてや、大事な佐助の想い人とくれば、尚更だろう。
「でもな、アンタが愛子にapproachしたとしても、愛子は結局、最後は真田を選んだ。もし、真田の幸せのために自分が身を引いたとか思ってんなら、それは大きな勘違いだ」
 現代に来て間もなくの幸村は、何もかも彼女の世話になるという後ろめたさから、愛子への礼と詫びばかりを考えていた。そのころの幸村は、彼女を喜ばせることに執心していたせいか、傍目には愛子を「好く」というより「懐いている」感じだった。それがどうだ。
「あいつは自力で物にした。礼だ何だとぬかしてたくせに、最後は愛子に妬かせてな」
 恐らくは無意識でとった行動だろう。恋の駆け引きなどできる性分ではない。だがそれでも、嫉妬という感情を嫌っていた以前の幸村では、こんな結末には至らなかったはずだ。
 実は、以前元就に、嫉妬を己の内に受け入れた幸村は、大きく生き方を変えるだろうと言われ、政宗はかなりの焦りを覚えた。武者の王道を生きてきた幸村が、嫉妬にかられ、武士であることを捨て、愛子と生きることを選ぶほうへ、幸村が転がる気がしたから。
 彼らの恋は始まったばかりで、幸村の生き方がこの先また転じる可能性は否めないが、少なくとも、愛子の嫉妬を受け止めるだけの度量が備わり、幸村は確実にひと皮むけた。
 無論、それは幸村だけじゃない。彼と同じく、色恋に疎かった、愛子にも言える話だ。
「佐助さん、俺さ。愛ちゃんと付き合ってた当時、これでも結構、他の女の子に言い寄られてたんだよね。愛ちゃんの誕生日のバレンタインの日とかに、学校の帰りに待ち伏せされてプレゼント渡されたりとかして。でも全然、嫉妬とかされなかった」
 キスはしたのに、触るのは本気で嫌がってたしなぁ、と慶次は頭をかいて笑う。
「俺も真田との花見のときに、途中でかすがと抜けたが、愛子に妬く素振りはなかったな」
 それどころか、幸村とふたりきりになれる思わぬ幸運に、心躍らせていたように見えた。
「手前ぇもそうだろ、猿飛。これまで散々行動を共にしてきて、女と一緒にいるところなんざいくらだって見られてるはずだ。でも、愛子がお前に嫉妬を見せることはなかった」
 つまり、猿飛佐助は選ばれなかった。一番長く、戦国の時を共にしたはずなのに。
「まぁ、俺も独眼竜も忍の兄さんも、真田さんには敵わなかったってことでさ」
 ここはひとつヤケ酒でもやりますか、と、いつの間に慶次は、佐助の慰め役に回っている。お前な、と睨む政宗に、ごめん、と目で訴えながら、慶次は冷蔵庫に手を伸ばした。
「……風来坊。そんなこと言われたぐらいで命取るほど、仕事熱心じゃないぜ、俺様」
 呆れとも、降参ともとれる嘆息をひとつ吐くと、佐助は少しだけ表情を柔らかくした。
「独眼竜、俺様がしたことはあんたと同じさ。あくまで、大将の土俵を整えただけだ」
 佐助は政宗を見やる。確かに政宗は、幸村に愛子への想いをはっきりと自覚させることによって、ある意味手助けはした。だが、直接ふたりの背中を押すことはしていない。
「風来坊、俺様と独眼竜は何も、相談しながら大将と愛子の仲を取り持ったわけじゃない。あくまで障害を取り除くところまでだ。自分達の気持ちとどう向き合うかは、最後は本人に決めさせなきゃ。じゃなきゃ、その気になった程度で終わって、後が続かないだろ」
 俺様みたいにね、と佐助は苦笑する。結局最後は全て、落ち着く所に落ち着くのさ、と。
「それにさ、俺様もいい加減、大将に自分の生き方を確立してほしかったわけよ」
 生き方。ふと政宗の脳裏に、厨房で元就が残した、もうひとつの言葉が走った。
 ── 愛子も、誇りよりも生き恥を選ぶ。故に、真田は己の命の燃やし方に迷うておる。
「独眼竜、あんたには礼を言うよ。これで大将は、命を……自分の生をもっと大事にする」
 そこで僅かに揺らいだ佐助の瞳。政宗は、はっとなった。この目を見るのは二度目だ。
「……忍の兄さん……あんたまさか……」
 慶次も、何かに思い当たったらしく、急に顔を強張らせた。やはりそうか。
 政宗はずっと引っかかっていた。自分を選ばないと分かっていたなら、何故佐助は、愛子を必死で守っていたのか。御家のためというならば、名家の姫をあてがえばいいはずだ。
 愛子は実家の吉川(きっかわ)はもはや無縁。だが、それが逆に愛子の強みでもある。
 生き恥。
 愛子は家柄や死に様にこだわらない。むしろ恥を晒してでも、生きることを望む女だ。
 ようやく政宗は、佐助が何故、愛子を必要としていたのかを理解し、拳を強く握った。
「手前ぇ、真田幸村の……この国の歴史を変えるつもりか」

 女に溺れる、とはこのことか。幸村はそれを今夜、身をもって知った。
 愛子の肌の香りが、温もりが、これほど甘美なものとは思わなかった。小雪がちらつく寒い夜、時折佐助が、人肌が恋しい、と冗談交じりに零していたのを思い出す。鍛錬で汗を流せば寒さなど吹き飛ぶ、と熱く反論していた自分。もはや、あの頃には戻れまい。
 己の体の下に裸の愛子がいることが、触れている今も尚、幸村は信じられなかった。
 そして、勝手に動く己の下半身はまるで別の生き物で、幸村はそれに従っていた。
「い……痛っ……」
 愛子が苦痛に顔を歪める。強く刺した愛子の足の間に、己の入れそうな感触がない。
「も……申し訳ござらん……そそそそその……」
 情けなや。こんなことなら、春画をきちんと見ておくべきだった。槍の稽古を共にした男衆に、散々見ろ見ろとけしかけられ、それを頑なに拒んだかつての自分が恨めしい。
 すると、幸村の下半身に細い指が絡んだ。上気した愛子の目がそれを見つめ、恥じらいながら、ここです、と秘所にあてがった。先端がくちゅり、と音を立てて飲まれていく。
 もう止めてくれ。理性の悲鳴もむなしく、快楽に狂った幸村の四肢は更に暴走を始めた。

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