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第5章-幸村編-⑲<R18> [「うたかたごころ」第5章-幸村編-]

「うたかたごころ」を初めてお読みになる方は、必ず(はじめに)をお読み下さい。

<第5章-幸村編-⑲の登場人物>
 吉川愛子(よしかわ あいこ)♀…25歳。主人公。Japan Air の客室乗務員。
                     かつては安芸吉川(きっかわ)の姫。
                    幼少の頃に毛利元就の友だった
 真田幸村♂…23歳。戦国一の兵(つわもの)と称された武将。
 (真田源次郎)現代では、島津の店で雑用をして働いている。


※このページは成人向け表現が含まれます。18歳未満の方は閲覧を禁止させて頂いておりますので、ご注意下さい。


 呆然と天井を見つめながら、隣に眠る愛子の寝息を聞き、幸村はすでに柔らかくなっていた自身に右手を伸ばした。時折鼻をくすぐるこの甘い香りは、愛子の肌からか、それとも己の肌からなのかは分からない。忍の鍛錬を積んだ幸村の嗅覚をもってしても、もはや己と愛子の体臭の区別はつかなくなっていた。犬や猫の雄は、雌の発情の匂いに欲情するというが、なるほどこれが、人の発情の匂いというものなのだろう。この歳にしてやっと、事後の香りというものに触れた幸村は、そういえば、三々九度はしなくてよかったのか、などと今更ながらに愛子との関係を、どう定義したものか迷いだしていた。
 幸村は真田家の跡取りではない。恐らくは候補にもなっていなかっただろう。
 父は、幸村に忍の修行を積ませるとした時点で、時勢に大事あらば、父と兄で敵味方に分かれることを決めていた。父と兄、どちらが負けても、真田の家が生き残るように。
 己は毛利の言うところの、真田家の捨て駒として、命を燃やす定めを負う者だった。
 故に、武田の軍を預かるまで、嫁をもらって家族を守るなど、考えたこともなかった。
 まして、好いたおなごができるなどとは。
「ん……」
 愛子がわずかな寝返りとともに、鼻から小さな声を漏らす。
 何も知らない生娘(きむすめ)のようでもあり、何もかもを知りつくした娼婦のようでもある。幸村はそのどちらの女も、というより生まれてこのかた、ひとりの女とも床を共にしたことはなかったが、目の前の愛子が、この相反するふたつの色気を同時に持っていることは何故か分かった。男の野生が、それを嗅ぎ取ったらしい。そんなことを考えているうちに、何となく触れていた己の下半身が、少しだけ固さを増した。
「愛子殿……」
 先ほどまで、汗で額に張り付いていた彼女の前髪を、もう片方の手の指でそっとかき分ける。少しうつ伏せがちにこちらを向いている愛子の胸元には、深い谷間が刻まれている。
 細く柔らかい二の腕。それに隠された胸がもう一度見たくなり、その腕を掴んで彼女を仰向けにする。寝息とともに、かすかに上下する胸。そこに、幸村の赤茶色の髪が落ちる。
「ん……」
 くすぐったそうに幸村の毛先を払うしぐさが、まるで幸村を誘っているように見えた。
「ぃ……ぁ……」
 痕を付けてみたくなって、乳房に吸い付くと、チリッと与えた痛みに反応した愛子が、小さく声を上げて幸村の顔を押しのける。それでも半ば眠っているためか、抵抗する力はまるで入っておらず、そんな無力さが幸村の中に眠っていた、男の征服欲を呼び覚ました。
 支配欲。
 嫉妬心のみならず、己がそんなものまで持っていたとは、幸村は自分でも知らなかった。
 戦で得た土地や民ですら、征服という感覚を持ち合わせたことはない。ましてやこの己が、女性の支配を望む日がくるなど、思いもよらなかった。
 なれど、刃金(はがね)のように反り始めた己の男性のように、むくりと頭をもたげたこの欲求は、かくも連動するかのように、愛子の体に突き刺さっていく。
 ── 他の男には決して渡さぬ。
「愛子殿……それ……某……の……」
「ぃ……た……さ、真田さん!」
 突然挿入された驚きと痛みで、愛子が目を覚まして幸村の体から逃れようとする。
「痛いです! ちょっ……止めてください! まだ……っ……ぃ、痛っ!」
 処女膜を破った時にも感じた血の匂いが、愛子の下半身から再び立ちのぼる。幸村はようやく、自分の体でおなごを傷つけているという自覚が湧き、そこで動きを止めた。
「……申し訳……ござらん……」
 ずっと己の物に添え、そのまま愛子にねじ込もうとしていた右手を離し、痛みで流れた愛子の脂汗をぬぐった。濡れた己の指先には、よく見ると、暗闇でもはっきりとわかるほど、赤い色が付いている。幸村は、己が心底情けなかった。
 初めて愛子に会ったとき、眠り薬で微睡(まどろ)んでいた愛子を、佐助はいとも容易くとろけさせていた。まるで、女の性欲を引き出す忍術なるものを、目の当たりにした気分になったのを覚えている。恐らく佐助は、そんな忍術なんてないから、と言うだろうが。
 しかし己は先ほどから、自分ばかりが性欲を満たし、愛子にはほとんど苦痛のみを味わわせている。おなごを愛し、喜ばせる術を、己は何ひとつ知らない。
「まことに……某は、己が情けのうござる……」
「真田さん……」
 情けない心とは裏腹に、固くそそり立ったままの幸村の下半身を、愛子が申し訳なさそうに眺めた。彼女のことだ、あまり謝ると無理を我慢して、入れていいと言いだすだろう。
「愛子殿が……初めて、なのでござる……」
「はい、私も……」
「いや、そうではなく……」
 え? と顔を上げた愛子と、目が合った。痛みのせいか、眦(まなじり)が濡れている。
「刃を交えたいと思う強き御仁以外に、燃えるほど執心したのは……初めてなのでござる」
 わずかに潤んでいた愛子の目が、一瞬だけ見開かれ、薄暗闇できらりと光った。
 言葉通り、幸村は愛子の体の前では、他の全てのことを忘れていた。
 どんな剣豪と戦っていても、幸村はあの伊達政宗の剣と比較しながら戦っていた。己と互角の腕を持つ者と対峙したならば、政宗に勝つまでは誰にも負けぬと弾き返した。また、明らかに己よりも強き者と出会ったときは、政宗ならば如何にすると考えていた。
 大将として兵を動かすときは、信玄ならばどうするか、計略を巡らすときは、佐助ならばどうするかと、周りの意向を汲み取り、またその行動を学んで幸村は生きてきた。だが。
「愛子殿とまぐわう間は、他の一切のことが考えられなんだ……事の間のみならず、こうして己の欲情がほとばしるとき、少し冷静なうちはまだ、他の男ならば如何にするのかと考えが及ぶのでござるが、理性が負けるともう……何もかも、どうでもよくなり申す」
 だからと言って、眠るおなごに無理やり伽を強いて良い理由にはならないが、と幸村は付け加えて項垂(うなだ)れた。謝っていながら、今も下半身の興奮は収まらないままだ。
「……嬉しいです……」
 溜め息のような小さな笑いをこぼしながら、愛子がか細く答えた。そして、幸村の尻に手を伸ばすと、そのまま重く引き締まった筋肉をなぞるように、背中へと両手を上らせていく。一度目の情交の汗は引いたものの、幸村の背中はまだしっとりと湿って匂っている。
 しかし、そんなことにまるで構う風もなく、愛子はおずおずと両手に力を入れて、若干浮いていた幸村の体を、自分の艶めかしい姿態の上に引き寄せようとした。
 彼女に促されるまま、幸村は組み敷くように愛子の体の上に自身を重ねる。幸村の腰を挟む太ももと下腹部は熱いわりに、彼女の肌の表面や首筋は、やけにひんやりとしていた。
「伊達さんとか信玄さまとか……偉大な武将のかたをたくさんご存知で、鶴姫さんとか、姉とか、他にも良家の姫にたくさんお会いしている真田さんが、私を望んでくれたことが、今も信じられないです……もし、ただの一夜妻のつもりだったのだとしても……」
「斯様(かよう)なことはござらん!」
 愛子の言葉を強く遮り、幸村は自分の両手を愛子の背中に回した。
「一夜のつもりなど、毛頭ござらぬ。愛子殿……」
 体を重ねるまでは見え隠れしていた、舞姫との口移しの記憶も、今はどれだけ愛子の唇に触れようと完全に姿を見せなくなった。
「愛子殿、某の……妻になってくだされ」
 もう、他の男には、この肌を見せないでほしい。
「この真田源次郎幸村の……妻に……」
 熱を帯びた愛子の瞳が、すぐ目の前にあった。
 互いの吐息がかかる距離。彼女が口を開き、何かを言いかける。
「この幸村……そなたを守ると誓い申した」
 愛子の背を抱く腕に力をこめると、口を開いて言いかけたままの愛子の瞳が熱く潤んだ。
 戦国の世、鶴姫とともに船旅でたどり着いた長曾我部の屋敷で、合口(あいくち:※小刀のこと)を首に当て、守る、と言い放ったとき、愛子が悲鳴のように叫んだ言葉。
 ── 真田さんを死なせないで! ここで……こんなことで死んでは駄目なんです!
 愛子の正体を知らなかったあの時は分からなかった、その意味。だが今ならば分かる。
 恐らくきっと、己は歴史の大きな事変に、この命を散らす。そういうことなのだろう。
「そう誓ったあのときと、今の某とは違い申す。なれどこの魂は……いまもなお……」
 だが、幸村は腹を括った。この命、散らして愛子を守るより、
「一点の曇りなし」
 生きて守ってみせるべし。

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