大和ごころ
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第4章⑦ [「うたかたごころ」第4章]

「うたかたごころ」を初めてお読みになる方は、必ず(はじめに)をお読み下さい。

<第4章⑦の登場人物>
 吉川愛子(よしかわ あいこ)♀…25歳。主人公。Japan Air の客室乗務員。
                    かつては安芸吉川(きっかわ)の姫。
                    幼少の頃に毛利元就の友だった
 前田利家♂…30代半ば。慶次の叔父
 毛利元就♂…29歳。幼い頃、初恋の相手の愛子と結婚の約束をしていた。 
         死んだと思っていた愛子と、20年ぶりの再会を果たす
 伊達政宗♂…25歳。元親から愛子のことを頼まれ、西軍から守ることに。
         佐助の話と、本人との会話から、愛子の秘密に気付いた
 真田幸村♂…23歳。愛子の秘密を知らないまま、愛子を守ると決断。
         しかし、毛利と離縁した舞姫と、政略結婚を提案される
 前田慶次♂…26歳。愛子の幼馴染。愛子と交際していたが破局。
         フリーター。今は島津の喫茶店で働いている
        ※髪型は後ろでひとつに縛ってはいるが、肩にかかる程度の長さ
 前田まつ♀…30代前半。慶次の叔母
 猿飛佐助♂…29歳。真田幸村に仕える上忍。愛子の秘密を知った
 長曾我部元親♂…28歳。8年前に元服し、家督を継いで国主に。
            孫市の昔馴染みであり、政宗とも交友関係にある       
  
 


 幸村が脱いだ洗濯物を抱えて、彼の風呂の準備をせっせと整える愛子。腰にタオルを巻きつけた以外、全裸となった幸村は、そんな愛子の背後で、困ったように立ち尽くした。
 いったいどんな仕組みになっているのか、天井には光る円盤のような物が括り付けられ、その光がまた眩しいくらいに湯殿を照らす。このような煌々とした光の中、布一枚の状態でおなごを見下ろすなど、幸村にしてみたら、それだけでも卑猥な光景に思えてならない。
「これ、シャワーって言うんですけど、こうやって壁から外して使えるんですよ」
 蛇のようにくねくねと動く細長い物の頭を掴むと、愛子は根元にある銀色の突起を下げる。すると幾筋もの細い湯が滝のように流れ、湯殿はたちまち心地よい湯気に包まれた。
「真田さん、こっちに来て、この桶の中にシャワーでお湯を張って下さい。そっとですよ」
 言われるまま突起に手を伸ばす幸村。その手に、愛子はそっと上から自分の手を重ねた。
 幸村は思わず、どきりとして彼女を見下ろすが、愛子のほうは、幸村が湯量の出し加減を誤らないよう、調節するのに集中していて、幸村の顔が紅潮していることに気付かない。
「湯を止めたいときは、この突起を真ん中に……そうです。じゃぁ、もう一度お湯を……」
 ひとりで使わせてみる為、幸村から手を離した愛子は、「洗濯用洗剤」と書かれた箱から粉をすくい、桶の洗濯物に振りかけてしゃがんだ。意外に勢いのある湯が彼女にかからないよう、幸村は慎重に湯を出す方向を決めながら、ふと愛子を見下ろす。すると、
「──っ!」
 かがんだ愛子の胸元から、おなごらしい膨らみが僅かに見え、幸村は突起を回すと同時に、思わず顔を背けてしまった。
「きゃっ!」
 彼女の小さな悲鳴に、はっと顔を戻すと、愛子がシャワーの湯を頭から浴びている。
「す、すまぬ!」
 慌てて湯を止めるも、上半身ずぶ濡れとなった愛子は、髪から湯を滴らせて肌や唇も紅潮し、白いシャツからは、地肌と胸を覆う下着が透けて見える。ここが己の屋敷だったら、どうにかしてしまいたくなるような、悩ましい彼女の姿に、幸村は眩暈すら感じた。
 そこへ、愛子の悲鳴に飛んできた元就が、裸の幸村と濡れた愛子を見て顔を顰め、
「貴様……」
 地を這うような声音を発して、幸村を睨んだ。
「も……毛利殿! ごごごご誤解でござる! 某はこれの使い方を誤って湯が……」
「黙れ、真田。愛子の衣をわざと濡らして脱がせようとは! 愛子、洗濯なんぞ自身でやらせよ! こんな狭い部屋で裸の男とおれば、またいつ押し倒されても文句は言えぬぞ」
「し、松寿兄さま、私別に押し倒されたわけじゃ……それに使い方の説明が色々まだ……」
 丸腰でなければ十中八九得物を抜いていた、と誰が見ても分かるほどの元就の殺気に、幸村はシャワーを槍のように構えて、反射的に身を守ろうとする。見かねた利家が、
「あぁ、じゃぁ幸村くんは俺と一緒に入ろう! そうすりゃシャンプーの使い方も全部教えられるから。愛子ちゃん、洗濯物は適当なところでいいから、買い物のほうを頼むよ」
 一緒に風呂場の様子を見に来た政宗を振り返って、彼の穿く慶次のズボンを示した。
「服と靴のだいたいのサイズはメモしておいたから。色は皆、愛子ちゃんに任せるって」
「ありがとう。じゃぁ行ってくる。その前にまつお姉ちゃんの洋服貸してもらっていい?」
 眉をハの字に下げて、愛子はびしょびしょになった服を見下ろす。
「誠に面目ない。シャワーという物は思った以上の勢いがある故、油断ができぬな……」
「油断も隙もないのは、貴様であろう、真田」
 迷惑をかけたことを深く悔やむ幸村に、元就は容赦なくとどめを刺した。
「な、毛利殿、あれは誤解でござる! 油断がならぬと申されるならば……あ、いや……」
 幸村は慌てて言葉を飲み込む。言い訳に加えて、うっかり告げ口などしそうになり、これでは甲斐の恥さらしだ、と幸村は己を叱咤した。しかし、時既に遅く、ちらりと向けてしまった幸村の視線の先を、元就はあっさりと見つけ出して、更に顔を顰める。そこには、
「わぁ、伊達さん、凄く似合いますね。自分の洋服着てるみたい。格好いいです!」
 慶次のTシャツとジーパンを着こなし、脱衣所の扉にもたれかかって腕を組む伊達政宗。
「アンタも中々悪くねぇ。肌が透けててそそられるぜ。真田もいい趣味してんじゃねぇか」
 濡れる服から見えるブラを真っ赤になって隠し、愛子は慌ててタオルを引っ張り出す。
「ままままま政宗殿! そそそそ某は、だだだからそういうつもりでは……あ、愛子殿!」
 さっとタオルで体を隠して、逃げるように脱衣所を出て行ってしまった愛子に、幸村は深く傷ついた。しかし、誤解だ、と呼び止めたくても、まさか裸で風呂場を飛び出すわけにはいかない。この格好で愛子を追いかけようものなら、今度こそ元就に殺されるだろう。
「貴様……今度愛子を辱(はずかし)めたら、ただではおかぬぞ。覚えておけ、独眼竜」
「Ha! 忘れてんのはアンタじゃねぇのか、毛利さん。俺は『両刀』だぜ?」
「…………」
 夜襲を仕掛けようものなら、そのまま元就を辱める、と不敵な笑みで匂わせる政宗に、衆道を強要されたことなど、恐らく一度もない元就は、露骨に嫌悪を見せた。
 伊達政宗といえば、歩けば女が悲鳴をあげるほどの美丈夫でありながら、男色を好むのは有名。何処までが冗談で、何処までが本気か、ある程度付き合いのある幸村ですら計りかねるのだから、殆ど初対面の元就が、思わず閉口するのも致し方のないことだ。
「へぇ、伊達くんって両利きなんだ。じゃぁ楽器とかやったら、すぐ上達しそうだな」
 ただひとり、意味も空気も全く分かっていない利家が、見当違いなことを言って笑った。

 石田三成、長曾我部元親。同じ戦国武将ふたりでも、元々仲のいい侍同士ならよかったのだが、佐助の話では、現代に来る直前まで、このふたりは激しく言い争いをしていたという。当然のことながら、そんなふたりでは、同じ乗り物におとなしく乗るわけがない。
 しかし、車のキャパシティは運転手を含めて4名。さて、どうしたものか、と慶次が頭を悩ませていると、突然太ももにくすぐったさを感じ、ビーンという音と共に、ポケット越しに光が見えた。慶次は、慌てて手を突っ込んで携帯を取り出し、通話ボタンを押す。
「まつ姉ちゃん! よかったぁ、助かったよ。もしかして、そろそろこっちに到着する?」
『えぇ。もう、上田城付近にいます。それより、愛子ちゃんが見つかったって本当ですか!?』
 先ほど送信しておいたメールを見たのだろう。嬉しさを隠し切れない、というまつの声色に、慶次も思わず泣きそうな声を出して、顔をくしゃくしゃにした。
「あぁ、俺たちも詳しい話はまだ聞いてないんだけど、どうやら半年も戦国時代で暮らしてたみたいなんだ。凄いよね! あの真田幸村と一緒にいるって、信じらんないよ!」
 上田城に来るまでに、土産物屋や駅前の銅像など、至る所でその名を目にした戦国一の兵(つわもの)・真田幸村。上田が産んだその伝説の武将が、今知り合いと一緒にいるのだ。極秘事項である、ということも相まって、慶次はまるで子供のようにはしゃいでしまう。
『そのことですが、慶次。あなた達の傍にも今、侍や忍の方がいらっしゃるそうですね』
「あぁ、いるよ!!  超有名な忍者・猿飛佐助!! まつ姉ちゃんも早くおいでよ!!」
 その慶次の言葉に、佐助はがっくりと肩を落とす。悪名ではないにしても、忍である佐助が「超有名」と言われては立場がないのだが、慶次のほうは興奮でそれどころではない。
『……慶次……よくお聞きなさい。忍者とは諜報だけでなく、時には暗殺も請け負う方々です。超有名、ということは、それだけ人を殺めてきた、ということではありませんか?』
「…………」
『慶次、かすがさんに代わって下さい。上田城に到着する前に、彼らの様子が知りたいのです。ご本人様方を目の前にして、このような話をするわけには参りませんから』
「……分かった」
 急に勢いを失った慶次に携帯を渡され、かすがは怪訝そうにそれを受け取る。
「どうした、慶次。広島で、愛子に何かあったのか」
「いや……そうじゃないんだけど……まつ姉ちゃんが、かすがちゃんと話したいって……」
 慶次の様子に何かを察したのか、かすがは受話器を耳に当てると、第一声は努めて明るく振舞いながら、普通の挨拶を交わす。そして、さり気なくその場を離れ、こちらに背を向けて話し始める機転は流石、一流企業のグランドホステスだ、と慶次は心底感心した。
 が、佐助らを見ると、そんな彼女の背中を鋭い眼差しで観察している。やはり、殺(や)るか殺られるかの歴戦を潜り抜けてきた戦士だけあって、油断する様子は全く見せない。
「どうした? 何か都合の悪ぃことがあるなら、遠慮なく言ってくれて構わねぇぜ」
「つ、都合が悪いわけじゃないんです……す、すいません。その……」
 勇気を振り絞る慶次の様子に、見かねた元親が安心させるような笑みを見せる。しかし、かすがから視線を外さないままだった佐助は、言い澱む慶次に、容赦のない言葉を発した。
「ちゃんと言っていいんだぜ。殺し屋と関わるのは御免こうむる、てね」
「──っ!」
 殺し屋。その言葉で、目の前の彼らへの恐怖が、慶次の胸に、どんっ、と衝撃を与えた。

「第4章⑧」へ

※↑で文字化けする方(携帯からお読みになる方など)は、カテゴリーから<「うたかたごころ」第4章>→「第4章⑧」へお進み下さい。


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