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「捨て駒票」(元親+元就) [拍手SS再録置き場]

 拍手御礼用で作成した短編小説「捨て駒票」です。
 舞台は戦国なのですが、武将の方々には「戦国BASARA3武将人気投票」の集計結果がちゃんと届いているという、ツッコミどころ満載の設定です。
 元親が、密かにの集計結果をこちょこちょしているらしい元就にうんざりしております(笑)
 ※BL作品ではありません。

 集計結果を見たとき、<毛利元就4000票>という、あまりの綺麗な数字に、思わず書いてしまいました
 全国の健全なる捨て駒の皆様、そして元就様、どうか、この史月の妄想をお許し下さい(笑)
 最後に拍手を下さった方、ありがとうございました!




『捨て駒票』

「ありえねぇ……」
 神無月(十月)のとある日。厳島で同盟の軍議を早々に終えた毛利元就と長曾我部元親は、少し早い紅葉狩りと称し、毛利の用意した宴に参加していた。その席でのこと。
「何でこんな仏頂面の男にこの俺が……」
 長曾我部が手にしている書状は、先ほど四国の部下が届けに来たものだ。内容は今年の葉月(八月)から長月(九月)にかけて、全国の乙女や若者達、約三万二千人余りが投票に参加した「戦国武将人気投票」の集計結果。その報告書の数字を見て、西のアニキこと長曾我部元親は愕然とした。
「ありえねぇ……、ちっくしょう! 本土の連中はみんなどうかしちまってるぜ」
「己の敗北を素直に受け入れられぬとは。日ごろ海賊の流儀云々を語るわりには、往生際が悪いものよ」
「何を!」
 食ってかかった長曾我部に、毛利はフン、と嘲笑した。
 長曾我部の獲得票は二四二八。おそらく自分を慕う野郎共が、こぞって入れてくれた票に違いねぇ。勿論この票数には、長曾我部は心から感謝している。しかし、だ。
「毛利お前、自分んとこの家臣全員に、問答無用で自分に投票させたんじゃねぇだろうな」
「フン。このようなくだらぬ集計にいちいち我は付き合わぬ」
「けっ、どうだかな」
 でなければ、この冷徹無情を絵に描いたような男がきっちり四〇〇〇なんて票を取るなんざありえねぇ。
「ん? 四千……」
 長曾我部はもう一度報告書の数字をじっと見る。
 集計結果には、今回関が原に参戦した二十八人の武将の票数が報告に上がっているが、どの数字も最後の一桁に至るまで、正確に集計されている。例えば伊達政宗は五四八三、石田三成は四〇七〇、真田幸村は四〇二一……、最下位の北条は五五。おおよその数字ではなく、どれも一票単位までの記録。なのに、毛利の票は四〇〇〇ちょうど。石田のように十単位のキリ番ならわかるが、下三桁全て〇とはあまりにもキリが良すぎやしないか。
「なぁ、毛利さんよぉ。アンタまさかとは思うが、この集計結果に変な要望出しちゃいねぇよな……」
「フン。我の票数が、貴様はどうやら気に入らぬようだな」
 なんだよ。こいつは結局、自分の票数気に入ってんじゃねぇのか? だったらますます怪しい、と長曾我部は先ほどから胸中にある疑いを、より一層強くした。
「莫迦言ってんじゃねぇよ。それこそくだらねぇ話だ。俺が言いてぇのは、わざと下三桁が揃うように投票させたんじゃねぇのかってことだよ」
「くだらぬことを。我はそんなつまらぬことに時はさかぬ」
 なら、いいんだけどよ……、と長曾我部は盃をあおる。
 まぁ、さっきから、くだらぬとか何とかこれだけ莫迦にしてるんだから、そもそも興味がないのだろう。考えてみれば、そんな細かいことに気をとられている自分の器の方が、確かにこいつに比べて小さいのかもしれない。
 気を取り直して、ここは滅多にありつけない安芸の美味い酒を、たっぷりと楽しむとするか。そう思って、毛利に酌をしようとしたところ、
「なれど、人の目に触れるものなれば……」
 毛利が盃を差し出しつつ、徐に口を開いた。なんだよ、まだ続きがあんのかよ、とせっかく気持ちを切り替えた長曾我部はため息をこぼす。
「後のちまで人の記憶に残る数。これを得るに越したことはあるまい」
「……何か嫌な予感がするんだけどよぉ……」
 続きを聞いてはいけない、聞けば血管がブチ切れる、という予感を長曾我部の本能が察知した。
「貴様にしてはいい読みぞ。キリのいい数なれば、より人の記憶に残り易くなろう」
「……それは……つまり」
 酌をしようとした長曾我部の手が止まった。
「貴様の申す通り、千に満たぬ数は切り捨てるよう、予め要望を出しておいた」
「…………」
 あまりのやりように、血管がブチ切れるどころか、血圧が急降下したような気がした。
「アンタ、本当に血も涙もねぇ野郎だな……」
 何食わぬ顔で、百単位以下は切り捨てた、とは。
 だったらその票を俺にくれ、と心の隅で呟いてしまった自分の卑しさもろとも、心底滅多切りにしてやりたい気分だ。
「分かっておらぬな、長曾我部」
 呆れのあまり酌の手を引っ込めた長曾我部に、早よせぬか、と盃で促しつつも、毛利は珍しく得意気な顔で話しを続ける。
「正確な数が知れていれば、おそらく我の票は、真田あるいは石田の票も凌いでいたであろう。なれど、出すぎる余りに敵の数を増やすは己の身を危うくするだけよ。大事なのはいかに敵の目を欺き、後の世に残るか、だ」
「……はぁ?」
 散々、今回の集計を莫迦にしていたくせに、警戒心丸出しじゃねぇかよ、と長曾我部は心の中でつっこむ。こいつに酌する酒なんざねぇや、と催促する毛利の盃を無視した。
「我を慕う捨て駒ならば、我の秘策の下に切り捨てられることも、また本望であろうぞ」
 そう言うなり、もうよいわ、と毛利は勝手に手酌で飲み始める。呆れかえった長曾我部は、付き合ってられねぇと、先ほど引っ込めた酒を自分の盃に思いっきり注いだ。
「アンタって、本当にありえねぇ……」

-END-


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